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わたしの8020運動

2008/7/28


8020運動

80歳になっても、歯を20本以上そうという運動のキャッチフレーズです。

最低20本の歯があれば、なくなった歯を補綴することでよく噛めるように再構築できるというデータがあったそうです。そこで高齢者になったときに最低でも20本の歯を残そうという運動を始めました。

我々歯科医側からの事情からすると、80歳になって20本自分の歯が残っている為には、40歳の歯周病のリスクの高い人にはどのように治療していけばいいのか、50歳の人にはどうしたらいいのか、など目標をたてながら戦略的に思考できる運動です。

しかし、20本残したいと決意するのは、我々歯科医ではなく、患者さんご自身だということです。歯を失いたくないと本人がそう考えなければこのような言葉は無意味です。加齢と共に歯が崩壊していくのは事実ではあります。私達は歯列が崩壊していかないようアドバイスし、少しでもその進行を遅らせる為の努力をします。

最近思うのです。私は、20本の歯を残すことが目的だとは思っていません。

高齢者になって、人世の最後の時期をいかにしあわせに過ごせるか、どう生きるかが目的です。

5本しかなくても、あるいは全く歯がなくても、幸せを感じて生きていただければ、この運動の精神に違わないものであると感じています。

口はいろんなことをします。

飲む、食べる、人と話す、泣く、歌う、愛撫する(愛らしいものをなめる、噛む、吸う)。これが十分行えれば満ち足りた気分を味わうことができます。

生きるということは食べ続けること、幸せだということは笑えることだと思います。あらゆる幸せが口にかかっているんだ、私は、そんな背景を思い浮かべながら、患者さんの歯を診させていただこうと感じています。

私の中では、8020運動とはそういうことなのです。